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デンシノオト

音楽の印象。

James Place『Voices Bloom』(Umor Rex/2017)

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ニューヨークのPhil Tortoroli=James PlaceがUmor Rexからリリースした新作アルバム。「ポストモダン時代のために再彫刻された愛と喪失の音響的な実現は、テクノを新しい深みに取り入れることを追求する。」「ボイス・ブルームは、文化的なコラージュの音楽性であり、非常に個人的で親密な、多様な音の世界を集めています。」とレーベル側からアナウンスされているように、20世紀以降のモダニズムの問題を内包しているような音響テクノでした。電子音、ヴォイス、ビートなど緻密なサウンドのテクスチャーが耳に心地よく響きます。制作の出発点は、T.S.エリオット『四つの四重奏』。

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UMOR REX RECORDS
http://www.umor-rex.org/
https://soundcloud.com/homeward
https://umorrex.bandcamp.com/album/voices-bloom

James Place『Voices Bloom』(Umor Rex/UR099/2017)
1 Courage To Ask
2 Robin Weep
3 Move In Blue
4 Rumor And Choir
5 Theatre
6 Echo You
7 Wild Theme Unseen

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Artwork:Daniel Castrejón
Mastered By:John Tejada
Producer、Music:Phil Tortoroli

Felicia Atkinson『Hand In Hand』(Shelter Press/2017)

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 〈Shelter Press〉からリリースされた、フランス・パリ出身、1981年生まれの電子音楽家Felicia Atkinsonの新作。

 かつて〈Spekk〉や〈Home Nomal〉などからリリースしてきたアルバムより、近年、フランスのエクスペリメンタル・ミュージック・レーベル〈Shelter Press〉から発表する作品はより先鋭的になってきた(以前は「音楽的」な要素が強かった)。昨年(2016年)、〈Shelter Press〉から発表されたJefre Cantu-Ledesma とのコラボレーション・アルバム『Comme Un Seul Narcisse』、2015年、同レーベルからリリースされた『A Readymade Ceremony』など「新しい実験音楽」として出色の出来栄えだったと思う。しかし本作は、それを軽がると凌ぐほどに素晴らしい。傑作ではないか。

 電子/音の形状が融解し、どこか「無」の状態を想起する電子音楽・音響と声。構築というより意識の連鎖から生まれているように思えた。もしかすると70年代の電子音楽の最良のカタチで継承しているのかもしれない。即興と構築のあいだ。

Brooklyn Youth Chorus『Black Mountain Songs』(New Amsterdam Records/2017)

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 Bryce Dessner、 Nico Muhly、 Richard Reed Parry、Aleksandra Vrebalovらの楽曲を提供したモダンなコーラス・グループのアルバム。実はまったく知らず、たまたまツイッターのTLで知ったのが、その音響的な美しさ、複雑にして透明な声のレイヤー、しなやかな冒険性、そして流麗な楽曲に驚いてしまった。むろん、先に書いた参加作曲者をみれば当然と分かるのだが(しかもBryce DessnerとTim Heckerの共作まである!)。50人の声によるモダン・コーラス・サウンドとして、そしてエクスペリメンタル/アンビエントなアルバムとしても聴いています。とにかく「音楽」の美しさが横溢しています。

Kara-Lis Coverdale『Grafts』(Boomkat Editions/2017)

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 カナダ・モントリオールを拠点に活動をするKara-Lis Coverdaleの新作。22分のEPだが、柔らかい音のレイヤー感覚と詩的に展開する構成力が存分に発揮されており、流石の完成度。瞑想的ともいえるサウンド・コラージュの手法によって、どこか内省的な空間・時間を生成している。夢と目覚めの「あいだ」になっているようなアンビエント。Kara-Lis Coverdaleは、いわゆるニューエイジアンビエントなアーティストの中でも頭ひとつ抜けている才能の持ち主ではないかと思う。

boomkat.com

Ken Ikeda + David Toop『Skin Tones』(Home Normal/2017)

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 素晴らしいキャリアと実績を持つ二人のサウンド・アーティストの競演作。これぞまさに音の饗宴。ドローン、乾いた音、持続、変化。1曲27分ほどのアルバム(EP?)だが音に込められている持続感覚が濃厚なので、実際の時間はそれほど問題ではない。2016年5月22日にロンドンIklectik Art Labにて録音されたという。スチールギターからフルート、DXシンセサイザーからさまざまなオブジェクトを用いてる。

Dedekind Cut『American Zen』(Hospital Productions;/2016,2017)

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 Dedekind Cutの2016年作のEP。同じく2016年リリースのアルバム『$uccessor』も素晴らしいが、この『American Zen』も絶妙なミュージック・コンクレート風味のノイズ/エレクトロニック・ミュージックを聴かせる。くわえて4つ打ちのトラックなども収録されており、Lee Bannon名義に近い作風の曲もある。Creative DirectorとArtwork はDominick Fernow。今年、「Special Edition」が〈Hospital Productions〉からリリースされた。

leebannon.bandcamp.com

Federico Durand『La Niña Junco』(12k/2017)

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 〈12k〉からリリースされたアルゼンチンの音詩人(?)、Federico Durandの新作。たったひとつのシンセサイザーを使って作られたという美しいサウンド・スケープのアンビエント・ミュージックで、ゆったりとして、豊穣な音の連なりが空間に馴染んでいく仕上がりとなっている。レーベルは本作を「『La Niña Junco』は手織りの宝石です。謙虚な起源と深い共鳴する魂を持つ音楽」と評しているが、まさにタイムレスな慎ましい魅力を称えたアンビエントといえる。